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テクノロジー
2016.11.08

IoTとビッグデータがもたらす変革の時代が到来——Cloudera World Tokyo 2016基調講演

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2016年11月8日に都内の会場にて「Cloudera World Tokyo 2016」が開催され、「IoTとBigDataをビジネスインパクトにつなげた国内外の事例」と題した基調講演が行われた。

登壇した株式会社インテック プリンシパルの中川郁夫氏(以下、中川氏)は代表的な3つの例を挙げながら、デジタルイノベーションとIoT、ビッグデータの関係について解説した。

インテック プリンシパル 中川郁夫氏

IoTとビッグデータをビジネスインパクトにつなげるためのヒント

IoTとビッグデータについて考えるヒントとして中川氏は、IoTを通じて膨大な量のデータが集まるが、それをもとにどのような事象が分かるのかという“知見”が大事だと話す。

GoogleやAppleなどのグローバル企業が取得しているスマートフォンの位置情報は、“誰がどこにいたか”が分かるだけでなく、誰かと一緒にいた場合はそのデータまで把握できる。「位置情報を持っているだけで、その人との関係性まで分かってしまう。

これと同じことは電子ブックにも言える。その人がどのような本を読んでいて、どのような速度で読み進めているかが分かれば、その人の知性が分かる。ポイントカードも同じで、何をいくらで買ったのかが分かれば、その人の購買行動が分かる、というわけだ。こうした知見が、どのようにして価値に変わっていくのか。

IoTとビッグデータを考えるヒント

 

既存事業者のビジネスモデルを変えてしまったUber

その事例としてまず中川氏は、Uberのビジネスについて語った。Uberではアプリでタクシーを呼び、目的地まで乗せたあとは降りるときに決済されるという流れとなる。しかしこうしたシステムは既存事業者も同じ仕組みを作っていた。

日本交通が作り上げたシステムも技術は同じだが、決定的に違うのはタクシー会社のIT部門が作ったということ。これは今ある業務の効率化やサービス品質を向上するために作り上げた。しかし、この仕組みがあったら会社はいらないのではないか。ドライバーと直接結びついていればいいわけで、タクシー会社のホワイトカラーはいらなくなってしまう。

そこに気がついたのがUberだ。そのためUberは会社組織を作らなかった。「一番大きなポイントは、タクシー会社をいらなくした、ということ」と中川氏。「タクシー会社の人事部長とか総務部長とか、彼らは会社がなくなるということは想像もできなかった」

そしてデジタルの波に乗り、Uberは全世界で広まることとなる。2009年に設立したときの資本金は約2,000万円。しかし2015年に至っては、増資をしたときの評価額が約5.1兆円にまで跳ね上がった。「日本のタクシー市場規模は1.7兆円。アメリカは1.3兆円、イギリスは1.5兆円。全部足してもUberの評価額にたどり着かない。もしかしたらこの会社は世界中のタクシー市場を置き換えるかもしれない。その期待値がこの価格」

またUberでは、事業を改善するとか、効率化する、サービス品質を上げるといったことは頭にない。根本的に事業構造を見直して、本来どうあるべきか、IoT、ビッグデータといった仕掛けがあったら、どのような仕組みが作れるのかをゼロから考えて地道に作り上げた。中川氏いわく、これがUberによる事業構造の変革なのだという。

既存事業者のビジネスモデルを変えてしまったUber 今では評価額が約5.1兆円に達した

 

サーモスタット製造会社はIoT、ビッグデータの解析から収益源を求めた

次の事例としてあげたのは、Nestというサーモスタットを作っている会社でGoogleが買収したことでニュースになった企業だ。家電やエアコンをサーモスタットにつなぎ、その人の生活パターンを学習することができる。これにより自動的に機器を制御させるという仕組みだ。

しかし、ただ機器がデバイスにつながっているだけではコネッテッドサービスの域を出ないが、何百万件ものデータを集めると話が変わってくる。生活パターンを学習しているので、都市全体で何時にどれくらいの電気を使うのかが分かってしまう。これは電気の需要予測に使えることになる。そこでNestは、電力会社にこのデータを販売するというビジネスを立ち上げる。

またNestのサーモスタットは、エアコンを自動的にコントロールできる。このため、付ける時間を少しずつ変えていけば、ピークコントロールができる。電力会社の側から見たら、ピークコントロールも重要で、かなりの設備投資も行っている。このためNestは、ピークコントロールの技術を利用することで、電力会社のコスト削減を提案していく。そして削減された金額を、利用者とNestに還元するというビジネスモデルを作った。

「サービスはサーモスタットから始まったが、収益源を電力会社のコスト構造に求めた。これを“第三者価値の発掘”と呼んでいるが、IoT、ビッグデータの解析がフルに活用されている。しかし大事なのは、こうしたデータを使ってビジネス的にまったく違う領域に活用したのがポイント」

Nestが行っているビジネスモデル

自らの事業領域と異なる市場から収益を確保したNest

1000万人の売り手と4.2億人の買い手がいる決済プラットフォームAlipay

そして最後にあげたのがAlipayだ。Alipayは中国の電子商取引市場であるアリババの決済プラットフォーム。IoTを使うといろいろなことが分かるわけだが、カードの不正利用を検知するというのが最初の目的だったという。まずは購買する人がいる場所、時間、使っている様子を集め、データに重み付けをして危険度のスコアを検出し、不正利用を把握するといった形だ。

アリババには1000万人の売り手がいて、4.2億人の買い手がいる。そこではAlipayの電子マネーを使って決済が行われている。その中で動いているお金は3兆元にものぼるのだが、この程度の規模になってしまうと、滞留資金の額も大きく、8,000兆元の規模になる。

「こうした滞留資金を、MMFに預けませんか、となる。当時、銀行の利率が0.3%だった時代に、MMFでは6%を付けていたので、一気に流れていった。今では世界第4位の規模」

不正利用がないかデータを元に検出

8,000億元もの金額がMMFに集まった

そしてAlipayは、決済サービスだけでなく、資産運用サービスにまで手を広げることとなるのだが、資産や購買、行動といったデータを軸に、信用情報市場へと進出した。4.2億人のデータを元に信用度を数値化。信用度の高いには旅行ビザを代行して発行するといったサービスを始める。

「Alipayが元々行っていたのはオンライン決済。そこからIoTやビッグデータを活用して、危険度スコアを独自に計算することを編み出した。そしてMMFというまったく新しいサービスを生み出した。それを組み合わせて信用情報市場へと展開する。これは事業価値の変革と言える」

4.2億人分のデータを利用して信用情報市場へ

集めたデータを軸に、自らの事業価値を変革したAlipay

IoTが広がると世の中、ビジネスはどう変わるのか

「IoTだといろいろなものがネットにつながるというが、これは利用者視点。一方セミナーなどではセンサーやCloud、データ処理といった話になる。これは技術視点。そもそもIoTが広がると世の中、ビジネスはどう変わるのか。この視点をイノベーションビューポイントと呼んでいるが、これを是非活用してほしい」(中川氏)

サービスを考えるのはCOO、仕組みを作るのはCIOだが、今の時代、どのような方向へ事業を向けるのかは経営者が考えることである。従来の情報化は効率化の視点で考えられてきたが、デジタルテクノロジーを使って、ビジネスやマーケットが変わる変革の時代であると中川氏は語り、基調講演を終えた。

意思決定のモデルが変化し、デジタル化による変革の時代が来ている

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