次なるAIのフロンティアはアジア。日本マイクロソフトが予測を発表
データ・人材・活用シナリオの観点からAIの技術開発の中心地に

※冒頭の写真は、マイクロソフトの音声認識、自然言語処理、機械翻訳の取り組みを統率するテクニカルフェロー、ゼドン・ファン氏(写真提供:スコット・エクルンド/Red Box Pictures)
今は「第3次AIブーム」と言われるように、AI(人工知能)が注目を集めている。これからのビジネスに変革を起こしていく存在として大きな可能性を秘めた分野であるが、欧米諸国に比べて日本を含めたアジア勢は出遅れている感がある。
そんななか、日本マイクロソフトは、次のAI技術開発のフロンティアはアジアであるとの予測を発表した。これには大きく分けて3つの理由があるという。
(1)AIにはデータが必要
AIが適切に機能するには大量のデータが必要となる。AIはデータから学習するため、システムに供給するデータ量が増えるほど良好な結果が得られるのだ。アジアは世界で最も多くの人口を擁しているだけでなく、デジタルによるつながりが最も普及した地域。このため、AIシステムが必要とする大量のデータを提供できるという見通しだ。
(2)AIには人材が必要
発展著しいAI領域だが、より強力で洗練されたAIプログラムの開発には、さらなる時間が必要となる。これを支えるのが、テクノロジー企業や研究機関のAI機能の開発に貢献できるSTEM(科学・テクノロジー・工学・数学)分野の人材。そのSTEM人材はアジアから生まれる可能性が高まっているという。UBSによれば、2025年までに中国とインドのタレントプールの合計が米国を上回ると予測している。
(3)AIには活用が必要
前述のとおり、より多くのデータがAIシステムに供給されれば、より良好な結果が得られる。なかでもアジアは生まれた時からデジタルに慣れ親しんでいるいわゆる“デジタルネイティブ”な若年層の人口が多い。国連によれば、世界の若年層人口の60%がアジア太平洋地域に居住していると推定している。これらデジタルネイティブな人々は、自身の生活を向上させるためにデジタルテクノロジーを積極的に活用する傾向にある。それによって大量のデータも供給され、AIシステムに良好な結果をもたらすというわけだ。
AIは、現代の企業や国家が求められているデジタルによる変革(デジタルトランスフォーメーション)において、重要な役割を果たす要素だ。調査会社のIDCによれば、2019年までにAIは新しい業務運営と収益化モデルのためのタイムリーで重要な洞察を提供し、アジア地域のデジタルトランスフォーメーションの40%を支援すると予測している。
そんな重要なAIの技術開発において、日本、ひいてはアジアが先進地域となる日が来るのを楽しみにしたい。