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テクノロジー
2017.09.15

AIが生む新たな雇用とは
人とAIの共存に新たな可能性が見えてきた

AIを試験的あるいは大規模に取り入れている一収益5億ドル以上の企業約1000社を対象に行われた調査結果が発表された。

調査を行ったキャップジェミニによると、対象企業の83%が「AIによって企業内で新たな役割が生まれた」と回答したとのこと。元来問題視されてきたAIによる短期的雇用の喪失と売上減少に関する懸念を否定した形になる。更に3/4の企業がAIの実装に直結して「売上が10%伸びた」と答えていると明かした。

「AIが人間の雇用を奪う」とは以前から言われてきたことであるが、逆に雇用が生まれたとはどういうことか。AIと人間は共存できるのか。
詳しく見ていこう。

今回の調査対象はオーストラリア、フランス、ドイツ、インド、イタリア、オランダ、スペイン、イギリス、アメリカの9ヵ国。
その内、AIの導入により雇用創出が認められた企業は全体の83%。特にシニアレベル、管理職以上の職種に需要が生まれた。
加えて、AIを大規模に実装した企業の63%が「AIが企業内の雇用を破壊することはなかった」と回答している。

逆に言えばAIの実装により37%の人員が整理される可能性があるということだが、マネージャーやそれ以上の職種に新たな雇用が生まれたという結果は興味深い。
単純作業をAIに任せられるようになった分、より高度なスキルを持つ人材が求められるということだろうか。

考察する上で知っておきたいのが、企業がどのような目的でAIを導入しているかという点。
調査によると、企業はAIが「従業員がルーティンワークや管理業務に費やしている時間を減らして、更なる価値を提供できるようにするための手段」となってくれることを期待し、導入しているというのだ。

実際、AIを導入した企業の71%がAI投資によって捻出された時間を従業員のスキルアップや再教育、新しいスキルの習得にあてているという。大規模にAIを実装した企業の90%近くは、AIによって煩雑な作業が楽になったとも回答している。

肝心の売上に関しても、3/4の企業が10%伸びたと回答しているので、現在AI未実装の企業もこれからAIを導入することで狙い通り「更なる価値を提供」できるようになる可能性は高いと考えられる。

包括すると、キャップジェミニが主張する「AIの導入によって生まれる雇用」、求められる人材というのは相当にハイレベルな人材なのではないだろうか。

なぜなら、一部業務をAIに任せることにより時間を捻出し、社員一人一人のスキルアップを図る。結果的に全体としての仕事の内容や質が上質な物となる。その上質な仕事をマネジメントできるような人物が新たに必要となる……、という一連の流れを「雇用機会の創出」としているのでは、と考えられるからだ。

もしそうであるなら、残念ながら「AIに取って代わられる」可能性の高い職種というのは依然として相当数存在する。
そして、個人に求められるスキルは今後一層高くなっていくだろう。

世界的にAI導入はどこまで進んでいるか

また今回、業界や国別にAI導入がどれだけ進んでいるのかの結果も提示されている。ある程度予想通りの結果だが、電気通信や小売り、銀行といった業界ではAI技術が大規模かつ積極的に導入、利用されている。逆に自動車や製造といった業界でのAI活用率は低い状況だ。
国別を見ると、圧倒的にAIの利用が進んでいるのはインド企業。僅差でオーストラリア企業という結果になった。今回の調査範囲には含まれていないが、中国が入るとまた違った結果になるだろう。

キャップジェミニのプレスリリースよりIoT Todayが作成

調査結果に対してキャップジェミニは「大規模なAIソリューションをロールアウトしながら目に見えるビジネス利益を得ている企業と、単に技術を試している企業との間には非常に大きな差がある」とした上で、「大規模なAI実装を行なっていない企業は特に、複雑性が低く利益性の高いプロジェクトにフォーカスを定めて、AIのパワーをすばやく活用するべき」とコメント。
AI導入が進んでいない企業は、まず自社の現状を分析することで、AIの導入により長期的かつ著しい利益を生み出す可能性が生じるポイントを見つける必要があるという見解を示した。

AIに限らず、新たな技術の導入が進んでいない分野には、進まない理由が存在する。そこをクリアしない限り、例えば製造業界全体で今年一気にAIの導入が進む……というような事態は現実的でない。

さらに、時間や人員に余裕のある企業でなければ、必要に迫られない限り「10%売上が上がるかも」と言われても「じゃあAIを導入しよう」とはならないだろう。
各業界内で、より高い確率で導入のコストに見合った利益を生むとAI技術自体が評価される必要がある。その点は普及が進んでいる業界、企業での前例が揃うのを待ちたいところか。

今後、さらにAI技術が進化し普及していったとしても、必要とされる人材であり続けるために求められる資質。それはAIに立ち向かうのではなく「AIを利用する」というスタンスを保ち、技術の進化から目を離さずにいられる胆力ではないだろうか。
人とAIの共存という課題からは、しばらく逃れられそうにない。

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