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テクノロジー
2017.09.08

日本発、航空機内でVR視聴の体験サービスを提供
JALが機内での新たな過ごし方を提案。VRサービス実証実験を行う。

JALと阪急交通社、KDDI、VRizeが共同でJALチャーター便を利用した阪急交通社の『9月10日(日)発 北から南までぐるっと巡る「火の国」アイスランド周遊9日間』に参加するビジネスクラスシート利用の乗客56名(予定)を対象に、往路の機内でVRサービスの実証実験を行う。

VRサービスの利用を希望する乗客には、VRコンテンツ視聴機材が貸し出される。自分の都合の良いタイミングで機材を装着し、専用のVRアプリを用いて好みのコンテンツを選ぶことができるのだ。

飛行機内でVR視聴のサービスが提供されるのは、これが国内初。
2017年4月にJAL国際線ラウンジにて行われた、VRがユーザー満足度向上に寄与するかどうかの実証実験が好評だったことを受けて今回の実験実施となる。

提供されるコンテンツの一部には、KDDIの360度動画を用いた旅行プログラム「SYNC TRAVEL」による、各国の街並みを撮影した映像が用いられているとのこと。
SYNC TRAVELは、VRと通信のテクノロジーを駆使して日本と世界をLIVEでつなぐ「遠隔旅行サービス」。「移動距離がゼロだから、カンタンに世界を旅することができる新しい旅行スタイル」を謳うサービスだ。

「VRと旅行」と聞いて読者の多くがイメージするのは「VRを使って、自宅にいながら旅行気分が味わえる」といったような「静×動」体験ではないだろうか。
その感覚からすると、今回のようにアイスランドという目的地に向かう飛行機の中でドイツやアルゼンチンの街並みを味わえる「動×動」体験ができてしまうというのは、なんとも不思議な感慨を覚える。

今回提供されるコンテンツ5種

もとより飛行機内での過ごし方として、映画などの映像コンテンツを楽しむこと自体は一般的なものだった。ここに選択肢の一つとしてVRコンテンツを投入するというのは、昨今のVR流行りからして自然な流れではある。
加えて、航空機内というのは現在大多数を占めるVR未体験者にとって最適な「VRお試し空間」の一つ足り得るのではないだろうか。

というのも、冒頭で触れた4月に行われた実験実験の結果によると、VRという言葉の認知度は90%以上だが、初体験者も90%以上。端末所持者ともなると5%未満だ。

 

そして体験者の95%以上がVR動画に満足し、再度利用したいと回答している。更に4人に1人はVR端末への購入意欲を示しているが、そもそもこの実験の体験者は約80%が男性であり、年齢も約70%が40歳以上とかなり偏りがある。

 

もちろんこの結果は、実験が行われた羽田空港国際線サクララウンジスカイビューという場所の影響も受けているだろう。しかし、それを差し引いてもまだまだ多くの人々にとってVR技術はテクノロジーに強い男性のものという認識が強く、女性や子どもが日常で気軽に触れられる……といったレベルにまでは達していないのが実情だ。
原因の一つとして、「興味はあるが、どういうものか分からない内に端末を買う気にはなれない」という意見や、「体験イベントなどで、他人にVR体験の姿を見られるのに抵抗がある」という意見の存在が挙げられる。

そうした事情を踏まえると、ある種「閉じた空間」であまり人目が気にならない飛行機の中というのは、はじめてのVR体験にはうってつけと言うことができる。
少なくとも、イベント会場で多くのひと目に晒されながら恐る恐るVR端末を身に着ける時のような抵抗感は大分薄まるはずだ。

人目が気にならない場所でじっくり体験できるのは、飛行機ならではの強み。
しばらくはVR自体の物珍しさ、関心度の高さもあって「機会が提供されているなら是非体験したい」というニーズは多いはずだ。実験後、コスト面などに問題がなければ順次実装されていくことも予測できる。

しかし一過性のものに終わらせず、VRコンテンツの視聴を機内での過ごし方の一つとして主流にしていこうと思った場合、今後求められるのは「飛行機ならでは」のオリジナルコンテンツ。「VRで海外旅行」体験による感動を最大限引き出せるのはやはり「自宅にいながら」が掛け合わさった場合であるだろうと想像できるからだ。

VRの普及と共に、「飛行機の中」という場を最大限に活かすコンテンツの登場を楽しみに待ちたい。

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