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イノベーション
2017.09.05

来場者の感情を数値化。AIによる来場者分析システム
エイベックスとマイクロソフトが来場者分析システムを開発。

2017年9月1日、エイベックス・グループ・ホールディングスは、より満足度の高いライブイベントの実現に向けてマイクロソフトのAIサービス「Microsoft Cognitive Services」を活用したライブ来場者分析システムを開発、システム導入に向けた実証実験の開始を発表した。

実証実験の第1弾として、2017年7月に東京で開催された人気アーティスト「lol -エルオーエル-」のライブツアー『”live tour 2017 [ lolz ]”ファイナル』にて、実証実験を行った。

lol -エルオーエル-

このシステムはAIで会場内に設置したカメラで来場者の顔を検知し、ライブの盛り上がりや演奏されている楽曲の「怒り」、「軽蔑」、「嫌悪感」、「恐怖」、「喜び」、「中立」、「悲しみ」、「驚き」の感情との関連性を分析、数値化するというもの。

来場者の反応を数値化することで、定量的な効果測定が難しいライブイベントの客観的な評価が可能となり、イベントの質や満足度の向上に向けた取り組みを行うことが容易となるのだ。

 

システムの実用化後は、ライブイベントの効果測定ソリューションとして外販していくことも検討している。
エイベックス、マイクロソフト両者はAIを活用することで、ユーザーニーズを反映したライブイベントの開催をはじめとするエンタテインメント市場のデジタルトランスフォーメーションを推進していくとのことだ。

システムの導入により、具体的には以下のようなことができる。

ライブ評価のスコアリング
ライブ自体の評価を観客の反応として数値化し、スコアリングすることでアーティストのパフォーマンススキルや人気度などを定量的に評価する。

グッズ購入者の可視化
会場物販での購入者を検知し、性別や年齢などの属性をデータ化することでECサイトとの連動や販売予測などに活用する。

チケット購入者分析から来場者分析への転換
チケット販売時は購入者としての情報のみ取得可能だが、来場者属性を分析することで「実際にチケットを必要としている人」を把握し、新たなマーケティングにつなげる。

 

CDなどの音楽メディアや音楽配信の分野は売上低迷が叫ばれて久しいが、ライブ市場は右肩上がり。
ぴあ総研によるライブ・エンタテインメント市場の調査結果によると、2016年の市場規模は前年から2.0%減の5,015億円と推計され、5年振りに前年を割り込んだものの依然として高水準を維持している。

2016年は首都圏各地の劇場やコンサートホールが改修や建て替えのために閉鎖が相次ぐ「2016年問題」が浮上しており、調査結果からもその影響が見て取れる。
とはいえ動員1人当たりの単価は上昇しており、会場収容人数1万人以上の大規模会場での公演回数が前年を下回った割には市場規模の減少は比較的軽微に止まっている。加えて既存ライブ会場の平日利用による稼働率上昇や、代替会場や野外での公演増などの回避策により、総じてマイナスインパクトは軽微。

2016年問題以降も、たとえば2019年に改修のための閉鎖が予定されている日本武道館のような施設もある。だが、この結果を見る限り今後も施設不足が市場へ与えるダメージはそう大きくはならないと推測される。
そこへ今回発表されたようなシステムを使えば、効率よく観客にとって満足度の高いイベントを企画・開催することができる。使い方によっては施設不足を補って余りあるだろう。

ただ発表されている「リアルタイムで観客の反応を測定し、その都度パフォーマンスを変更」するような運用を行うとなると、実現にはシステムの運用スタッフだけでなく演者にも高い対応力が求められる。100%AIシステムのメリットを活かすには、アーティスト自らがシステムを把握し、利用しようとする姿勢が必須となってくるのではないだろうか。
何にせよ、更なるライブイベント市場の拡大へ大きく貢献する可能性を秘めている点に相違ない。

また、同9月1日はLINE、アミューズ、テイパーズの3社が共同出資による新会社「LINE TICKET株式会社」を設立し、問題になっているチケットの不正転売問題や公式リセールなどの問題を解決する電子チケットサービス「LINEチケット」の提供も発表された。

2018年中のサービス開始を目指すLINEチケットでは、LINEプラットフォームを活用することによりLINE IDを活用した転売対策のほか、主催者・ユーザー間やユーザー同士の間でLINEを使ったチケットのやり取りが可能になるなど、LINEならではの機能を活かしたサービスの提供を予定している。
更に、チケットの健全な二次流通を実現すべく、主催者公認かつ市場原理に即した価格設定を可能にする二次流通の仕組みの構築を検討中だ。

エンタメの楽しみ方が鑑賞型から体験型へと移り変わる中、音楽イベントの成功如何は単純に売り上げではかれない部分があった。中でもチケット流通周りが上手くいかないと、イベント自体の満足度やアーティストの評判そのものを大きく損なってしまう場合すらある。
チケット流通の最適化・健全化を行うことで、より効率的な集客を行えるだけでなく、より満足度の高いイベントの企画開催にも直結する。

ライブイベントは市場規模が大きい割に、前述のチケット流通のようにシステム面で最適化が図られていない点も多い。効率化によって今後どのように洗練され、イベントの形が変わっていくのか興味深いところだ。

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