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2016.09.29

いまさら聞けないIoTの基本のキ 〜第3回 IoTは身の回りにも急接近中〜

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「IoT基本のキ」連載では、第1回でIoTの大まかな概念を、第2回でIoTの構成要素を、それぞれ見てきました。このIoT Todayサイトの記事を読むだけでも、さまざまなIoTの現実の取り組みや将来展望について、多くの情報が得られるでしょう。

でも、「なんだかピンと来ないなあ」という人もいるでしょう。「私の毎日」にとって、IoTがどんな役割を果たしてくれるのか、なかなか分かりにくいからだと思います。

第3回の今回は、暮らしに接近しつつあるIoTのいろいろを、覗いてみましょう。こんなところにも、IoTが関係してくるんだと感じると、IoTの姿に少しピントが合ってくるかもしれません。

家の中で――使っていることを気づかせない普段着のIoTへ

モノにセンサーが付いて、ネットワークとつながることで新しい価値が生まれる。そう考えたときに想像しやすいのが、家電機器のIoT化ではないでしょうか。エアコンや照明機器がインターネットにつながり、外出先のスマートフォンなどから手軽に操作できたら、便利なシーンはありそうです。

単に遠隔操作でスイッチをオンオフするだけでなく、室内の気温や湿度、明るさなどを把握して、家電機器を操作することもできるでしょう。これをもっと進めれば、クラウド上の「頭脳」が家の中の状況を判断して、自動的に省エネで快適な環境を作るといったことも可能になるでしょう。

パナソニック エアコンのWebサイトでは、スマートフォンをリモコンにしたり、運転状況やエコ状況を確認したりできる機能を紹介

家の中には様々な機器があります。この連載でも、天気予報を伝えてくれる傘立てや、スマートフォンから操作できるコーヒーメーカーなどを紹介してきました。このほかにも、ごみ収集日を教えてくれるゴミ箱、スマートフォンと連動して照明色を変えられるLED電球などといった家庭内IoTが製品化されています。

生活の中で、IoTの効用が期待されているものとして、ヘルスケアなど健康管理の分野があります。Fitbitなどのリストバンド型のウエアラブル端末や、Apple Watchのようなスマートウォッチなどを使って活動量や心拍数などを計測し、インターネット上で自分のデータを確認するという利用法はイメージしやすいものです。

これをもっと進めたものとしては、身に付ける下着にセンサーを装着し、四六時中の身体のデータを収集するソリューションも登場しています。

このように24時間のデータを収集するのとは異なるアプローチで、健康管理を実現しようというIoTソリューションもあります。例えば、トイレのIoT化です。尿の状態や、排泄物が発するガスをセンサーで測定し、多くの人のデータを元にして病気の前兆を検知するといったものです。

何かを装着したり、意識して測定したりすることなく、自然にデータが測定されて健康管理につながる。そんなIoTの世界がもうすぐやってきそうです。

NTTコミュニケーションズが開発するIoT化したトイレ「インテリジェント トイレ」。センサーが排尿や排ガスを測定し、予防医療につなげる

外出先で――トイレの空き探しから訪日客のおもてなしまで

街の中にもIoTのソリューションはどんどん増えていきそうです。バスや電車の位置をスマートフォンから簡単に検索できるサービスも、バスや電車というモノの位置情報を、ネットワークを介して利用するわけですから、広義のIoTと考えられます。

トイレの満空情報を表示するレンジャーシステムズの「トイレsearching」。同社のトイレの状況がネットですぐにわかる。待ち行列を検知するマット型のセンサーも開発

切実な場面を救ってくれるIoTも登場しそうです。トイレの空き状況をドアに設置したマグネットセンサーで検知して、スマートフォンなどから調べられるようにするサービスです。鉄道駅やショッピングセンター、オフィスビルなどでの利用が想定されます。

緊急時に満室で苦渋の表情を浮かべて耐えるのではなく、空き状況を調べてから直行できたら安心具合は格段にあがりますよね。

待ち行列を検知するセンサーを使えば、待ち時間を予測するIoTも登場するかも知れません。トイレの列、銀行ATMの列、昼食時のレストランの待ち行列、わかったら助かるシーンは多くありそうです。

仕事が終わって、さあ一杯。乾杯の一息の後で、もう一杯の注文をしようとしたら、店員さんがなかなかつかまらない。すぐにもう一杯が欲しいときに限って、空のジョッキを見つめることになるなんて経験はありませんか? IoTは、こんなところでも「気持よく飲める」仕組みを支えてくれるかもしれません。

コースターにジョッキを乗せると、自動的に次の一杯を注文してくれるソリューションが提供されているのです。これなら、店員さんを呼ぶ必要もなく、すぐに次の一杯を楽しめそうです。

エスキュービズム テクノロジーが提供する「おかわりコースター」の利用イメージ。ジョッキをコースターに乗せると、自動的に発注情報がシステムに登録される。

コインパーキングなどの駐車場も、IoTで進化が期待される分野です。画像センサーなどを活用して駐車状況をリアルタイムに把握できるようにすることで、リアルタイムの満空情報を提供するサービスが手軽に構築できるようになります。インターネットと連携してシステムですから、予約から実際に駐車して決済するまでを利用者はスマートフォンだけで完結することもできます。

情報提供でもIoTは期待されています。その1つのソリューションが、ビーコンと呼ぶ電波を発射する小型の装置を使い、その電波を受信したスマートフォンに特定の情報を提供するといったものです。売り場の前に来た人にクーポンを発行したり、展覧会や美術館で作品の説明をスマートフォンにプッシュしたり、来店のカウントをしてポイントを貯めたり――さまざまな応用が考えられます。

訪日外国人に対して、来店時にそれぞれの人に適した言語で店舗のメニューやクーポンなどの情報を自動翻訳して提供するといった「おもてなし」を目指したビーコンのソリューションも、IoTの活用で実用化されています。

安全・安心をサポート――より暮らしやすい環境づくりへ

生活を便利にするという側面だけでなく、暮らしの安全・安心をサポートする側面でもIoTの活躍が期待されます。この分野は、IoTのメリットが生きてきやすいです。すでに提供されている製品で、子どもやペットを見守るカメラがあります。外出先から室内の状況を確認したり、キッチンから子供部屋の状況を見られたりするのは安心ですよね。

センサーの情報を活用して、離れた場所から状況を確認するのはIoTならではの利用法です。歴史のあるサービスとして、「電動ポット」にセンサーを組み込んだ見守りサービスがあります。

ポットでお湯を沸かし、お茶を飲む--といった生活サイクルから、離れて暮らすご老人の生活状況をそっと見守ることができるというものです。トイレの満空状況を調べるしくみも見守りに使えますし、IoT電球を使ってトイレや風呂の点灯パターンなどから生活のリズムを確認する実証実験も始まります。

ボクシーズとビッグローブが、ユニバーサルスペースの協力を得て実施するIoT電球を活用した見守りサービスの実証実験のイメージ。

シューズにセンサーを入れるソリューションもあります。これはジョギングなどの運動の活動を正確に記録するというアクティブなソリューションとしてだけでなく、見守りにも活用できます。徘徊の習慣があるお年寄りに、スマートフォンなどの「機器」を持ってもらって位置を確認するのは難しいでしょう。

でも、靴ならば出かけるときには多くの場合履いていきますよね。外出したことを検知したり、通り掛かる人のスマートフォンと通信して位置情報を確認したりすることで、安全・安心を確保することにつながるのです。

「なーんだ。そんなことか」
そんな声が聞こえてきそうです。IT業界ではよくある横文字3文字言葉の「IoT」ですから、さぞ難しいことが起こるのだろうと思うでしょう。もちろん、産業システムで活用するIoTなどでは、部外者には何がメリットなのかもわからない難しいソリューションも多くあります。

一方で、私たちの暮らしに接近するIoTは、本当の日常の生活にちょっとした便利さや、安心感を提供してくれるものだったりします。そう考えると、縁遠いと考えていたかもしれないIoTが、実は私たちに寄り添っているものに感じられてきませんか?

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