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イノベーション
2016.09.23

国内でIoTを導入するために必要な「教育」と「土壌」
<「生活×IoT」ピッチイベントレポート>

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9月14日(水)、六本木一丁目にあるNTTドコモ・ベンチャーズ ラウンジで「生活×IoT」をテーマにしたビジネスマッチングのためのピッチイベントが開催。インフォバーン 代表取締役 CVO 小林弘人氏(以下、小林氏)やCAMI&Co.(キャミーアンドコー)代表取締役社長 CEO 神谷雅史氏(以下、神谷氏)が登壇し、IoTにおける国内外のトレンドについて語った。

今回のイベントは自社で開発したIoTソリューションを使って大手と協業したいと考えるベンチャー企業と、自社のアセットを使ってIoTサービスを導入したいと考える大手企業をマッチングさせるイベントとなっている。ピッチ前のトークセッションでは、IoT先進国での優良事例や日本のIoT事例などについて語られたので、その様子をレポートする。

モデレーターを務めたギズモード・ジャパン編集長 松葉信彦氏(以下、松葉氏)

アメリカに比べ、IoT導入で5年の遅れをとる日本

日本の企業はIoT の導入がアメリカに比べて5年ほど遅れているという神谷氏。自身でコンサルティングを行なっている神谷氏は、日本企業の知識や理解が乏しいというのを肌で感じているようだ。現場レベルの若い人はIoTに関して理解しても、裁量を持つ役員レベルの人は「全くわからない」という反応も。

CAMI&Co. 代表取締役社長 CEO 神谷雅史氏

プロデューサーが国内IoT推進の鍵

そんな国内でIoTを推進させていくためには、IoTの知識をつけビジネスを理解するのはもちろんだが、ソフト、ハード、ネットワークを理解していて、マネジメントができるプロデューサーの存在が欠かせないという。

IoTは異業種連携やビジネスプロデュースが成功の鍵と言われているにも関わらず、現状ではIoTを理解してビジネスにできる人材が不足している。IoTプロデューサーが増えてくれば、市場への投資効果が上がって、正の循環が生まれるのではないかと話した。

IoT推進のために必要なこと

日本は諸外国に比べて人材育成に関する課題意識が高いという総務省のデータがある。IoTプロデューサーが増えてくることが、この課題をクリアすることにつながるのではないだろうか。

日本は諸外国に比べ、人材育成の課題意識が高い

2020年にはIT教育が義務化されるが、IT教育にとどまらずIoT教育まで行なっていくべきだと神谷氏は話す。

20分に1社がうまれる都市「ベルリン」

IoTの人材育成に課題がある日本を尻目に、海外ではIoTに関するサービスがどんどん立ち上がっている。

海外事情に詳しい小林氏は、いま世界中の都市でもっとも熱いのは「ベルリン」だという。イギリスの新聞紙ガーディアンによると、ベルリンでは約20分に1社がうまれており、その中の多くがIt関連やIoTに関わるスタートアップ企業。また2014年にはGoogleがTech Campusを立ち上げるなど、シリコンバレーも「ベルリン」に注目している。

写真右:インフォバーン 代表取締役 CVO 小林弘人氏

Soundcroudなどのwebサービスも生まれたベルリンでは、街中のいたるところにCO-WORKING spaceが安価で貸し出されており、多くの企業が誕生する土壌が整っているという背景もあるようだ。

ベルリンでも有名なCO-WORKING spaceの「AHOY!」

そんなCO-WORKING spaceから誕生した製品のスマートキー「KIWI」や、生の豆から焙煎し、抽出までしてくれるコーヒーメーカーの「BONAVERDE」など、海外の有名なプロダクト事例もいくつか紹介してくれた。

元アップルのエンジニアが作るスマートオーブン「June」

プロダクトの中には、元AppleエンジニアのNikhil Bhogal氏と、Appleで製品販売を担当していたMatt Van Horn氏が携わっていたものもあった。

庫内に入れた食材の種類・重さ・温度を自動で判別して、最適な調理方法を提案し料理してくれるという全自動オーブンの「June」。

オーブンであるにも関わらずWi-Fi機能を搭載していて、iPad/iPhone向けに用意された専用アプリを使って、庫内のカメラから送られてくる画像の取得ができるので、クッキーを作っている過程をinstagramなどのSNSに投稿するような時に便利だ。

小林氏はこれらのプロダクトを例に、「フロントエンドの製品が数多く生まれているが、実際にはIoT×IoTのバックエンドを支えるものもかなり登場してきている」とも話す。

脅威にもチャンスにも変わる“IoT×ブロックチェーン技術”

気になる今後のIoT業界では、ビットコインなどで知られているブロックチェーン技術(*)とIoTを融合させたハードウェアが数多く出てくるという。「日本で例えるなら非接触型のカードが1枚あれば、北海道から沖縄まで、地下鉄や飛行機など場所や手段を問わず乗れてしまうほどの革命的なもの」と小林氏。

*分散型のコンピューターネットワークで、中央集権を置かずに信憑性のある合意を可能にする技術

これらの技術は既存の大手企業にとって脅威になるが、大きなビジネスチャンスであるとも話した。海外ではすでにブロックチェーン技術とIoTを融合させたサービスも開発が進んでいる。

ドイツのRWE(大手のエネルギー会社)とブロックチェーン・スタートアップSlock.it(スロックイット)が共同で電気自動車のチャージスタンドを街中に作ろうとしているのだ。

電気自動車のチャージングは人によってフル充電する人もいれば、ちょっと走るだけ充電する人など、マイクロペイメントが予想される。ブロックチェーン技術があれば、サービス提供者や銀行、デビットカードなどのリレーションが不要となり、さまざまな手間を省ける。

国内でIoT×ブロックチェーン技術によるサービスが展開される日も遠くないだろう。

トークセッションの最後は、小林氏と神谷氏によって“今後の国内IoTに期待すること”が語られた。

「IoTは新しい産業なので投資対効果が見えにくいのが実情だが、それを理解して挑戦させる“上の人”が増えてほしい。そのためにも新しいテクノロジーの知識や技術を知るための教育を普及させるべきだ。」と神谷氏。

小林氏も、教育について期待しているとリスクを交えて話す。「近年では夏休みの宿題でIoTを使ったものを子どもが提出して、先生がついてこれないという事例も国内外問わず出てきている。今後はベンチャー企業などの『民』が、学校などの『公』に対してIT教育を派遣していくなど柔軟に対応していってほしい」と締めくくった。

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