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2019.10.17

「5Gで何が変わる?」ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルのトップが激論 #CEATEC

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CEATEC 2019の講演会の1つとして開催された「5G Summit」。総務省主催のもと、携帯会社(キャリア)4社の社長・副社長が登壇。きたる5G時代に向けて携帯キャリアはどう変わるのか、議論を戦わせました。登壇者はNTTドコモの吉澤和弘社長、KDDIの高橋誠社長、ソフトバンクの宮川潤一副社長CTO、楽天モバイルの山田善久社長です。 ■5Gの現状 5Gこと第5世代モバイル通信サービスは、2020年春から以降、各キャリアがそれぞれサービスを開始する予定。これまでの4G LTE技術の延長として、光回線に近い高速でレスポンスの良い通信が可能になるほか、多くのIoT端末を同時にネットワークに繋げるといった使い方も実現されます。 ただし、サービス開始当初は4G LTEと共存させるため、最初から受けられる5Gの恩恵は「5Gエリア内に入れば高速な通信ができる」といった程度。低遅延や多端末接続といった"真の5G"の特徴は、2020年頃に5Gの仕様策定が完了し、その後通信機器メーカーや携帯キャリアの準備がととのって、初めて利用できるようになります。 ■5Gで何を実現する? 「5Gになることで、何が変わるのか」という問にはさまざまな答えが考えられます。実際、4社が展開する5G時代に向けたプレサービスも、多様性に富んだ内容となっています。 このうち、早くから実現できそうなのが映像サービスです。たとえばドコモではラグビーワールドカップ2019の中継をマルチアングルで楽しめるサービスを展開。KDDIはドローンレースの中継で、ドローンに搭載した5G端末により、高画質な映像を配信するといった実証も行っています。 近い将来、特に有望と言われているのは自動運転など、輸送に関わるサービス。自動運転についてはソフトバンクがトラックの隊列走行や自動運転バスなど、さまざまな取り組みを行っています。またソフトバンクはトヨタ自動車と合弁で自動運転のプラットフォーム「MONET」を設立し、自動運転時代への準備も進めています。 さらに、AR/VRなどいわゆる「XR」技術も5G時代を形作る柱となると期待されています。ARやVRではKDDIが特に注力しており、傘下のファンドを通じてさまざまなXRエンタメを提供するベンチャー企業に出資しています。また、ドコモはARグラスを設計・販売するMagic Leap社と提携し、日本でのサービス展開を手助けしています。 ただし、候補は出てきているもの、たとえば3G時代のメール・imodeや、4G LTE時代のスマホのように「キラーコンテンツ」と呼ばれる存在は、現時点では判然としない状況です。5Gには高速で低遅延、多端末接続という汎用性の機能を持ちますが、やはり通信そのものでしかありません。各社は5G時代の到来を前に、多くのパートナー企業と連携して、5G時代の新たなサービスを発掘する競争に入っています。 ■5Gで変わる携帯料金のあり方 今では携帯電話・スマホを1台持ち、専用の回線契約をして使うという使い方が主流となっていますが、このあり方は2022年以降とされる"真の5G"の到来で大きく変わる可能性があります。 なぜなら、身の回りにIoT機器が登場し、そのそれぞれが通信機能を持つことになるからです。機器1つ1つに料金プランを設定するのは、現実的ではなくなります。ドコモの吉澤社長は「通信だけの料金もきっちり作って行く必要があるが、5Gではパートナーのサービスと組み合わせた融合型の料金が主流となってくる」と予想を示します。 ▲NTTドコモの吉澤和弘社長 KDDIの高橋社長は5G時代のこの料金体系の変化を「フロービジネス(都度課金)からストックビジネス(継続型課金)へ移行する」と表現します。生活に必要なあらゆる機器が5Gをネットワークにつながることで、これまでのような買い切り型の機器販売から、エンドユーザーひとりひとりにあわせたサポートが求められる"サービス"へと変貌していくという見立てです。 関連:5Gにauはどう挑むか ──KDDI高橋社長を直撃 ▲KDDIの高橋誠社長 料金の変化の中で重要なプレイヤーとなるのが、10月からの「4G LTEサービス開始」を表明した新規参入者・楽天モバイルです。しかし、楽天はサービス当初は5000名限定で、無料サポータープログラムとして通信料金を取らないサービスとなっているなど、実態は"商用サービス"とはほど遠い状況です。 楽天モバイルの山田社長は5G時代の料金体系について「まだ4G LTEの料金も出してないので具体的なものは申し上げられない」と明確な回答を避けました。 ▲楽天モバイルの山田善久社長 楽天にローミングパートナーとして、都市部以外と屋内での通信サービスを期間限定で提供しているKDDIの高橋社長は「山田さんのところは低廉なサービスを提供するということで、ビビっている」と冗談めかしく語っています。 関連:「意外なほどつながる」楽天キャリア回線を1日使ってみたレビュー ソフトバンクの宮川副社長CTOは「料金部門の人間ではないので、個人的な意見として」と前置きしつつ、5Gスマホの価格は高止まりさせるべきではないと表明。「5G端末の価格が高止まりすると、隣に安い4G端末が並ぶ売り場では選ばれないだろう。韓国では4Gより5Gの端末の方が安いということで5Gが急速に普及した。(携帯料金は4割値下げできると発言した)菅官房長官に逆らうわけではないが、端末の価格についてはもう一度議論の必要がある」と話しました。 ▲ソフトバンクの宮川潤一副社長 兼 CTO ■3キャリア相乗りで基地局展開? 現在、4G LTEサービスを(商用サービスとして)展開している3キャリアは、いずれも4G LTEエリアの人口カバー率で99%台と、全国に広くサービスを展開しています。 ただ、5Gの普及で課題となってきそうなのが、このカバー率の問題。大都市での整備は順調に進むとみられていますが、"真の5G"で自動運転やドローン管制などの新たなサービスが実用化した場合、人がほとんど住まない場所にも携帯サービスを展開する必要がでてきます。営利企業である携帯キャリアにとって、こうした過疎地のエリア整備はこれまで以上の負担になる可能性があります。 そこで、5Gを見据えた新しい動きとして、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルは合弁企業を設立。同じ基地局を3キャリアで使うことで、コストを節約するという新たな動きを見せています。 関連:5G普及のカギに? "基地局シェア"でau、ソフトバンク、楽天がタッグ KDDIの高橋社長は「運輸業界では競合同士が配送で協力してインフラコストをさげ、良いサービスを提供していくと言う取り組みが進んでいる。通信会社もそういった協力が求められる時代になってくると思う」と表明。 これに呼応して楽天モバイルの山田社長は「5G時代になるとキャリア間の協力の関係も変わってくると思う。海外だと携帯キャリア各社が出資するタワーカンパニーがあり、大きな電波塔をつくって、まとめて各社のアンテナが入っている」と話し、日本でも共同でのエリア整備が進むという見方を示しました。山田氏が続けて語った「共同整備をやりすぎてしまうと、各社で差がなくなるが、いつまでも進まない用地交渉して繰り返してやっていくべきなのか......」という言葉には、新規参入事業者ならではの苦悩が見られます。 一方でソフトバンクの宮川氏は、山田氏に反論する形で「日本では競争政策で急速に立ち上がってきた。(共同整備を進めてきた)アメリカは広大な国土で5万局しかない。日本は10分の1の国土で10万局超ある」と、キャリア間の競争が高品質なサービスにつながってきたという意見を表明。一方で、「(人口カバー率ではなく)産業カバー率99.7%を目指すとすると、キャリアにとっては不採算なエリアばかり。それでもやろうと思っている。そんなところを協力して整備していこうと、KDDIさんに協力しましょうと持ちかけた」と合弁会社設立の経緯を語ります。 ドコモの吉澤氏は「5G時代もエリアカバー率は競争の焦点になるが、キャリア間の連携に乗らないわけではない」として、トンネルなどは現在でも共同でエリア整備を行っていると説明しています。 ■5G時代の国際競争 3G時代は国内携帯メーカーやキャリアの独自サービスが多数林立し、花開いた携帯業界ですが、4G LTE時代にはiPhoneを始めとしたスマートフォンが登場したことを契機に、国内メーカーの淘汰が進みました。議論は「5G時代の国際競争の軸はどこになるのか」というテーマに及びました。 NTTドコモの吉澤社長は「日本は"課題先進国"だ。いろいろな社会課題を解決していくなかで、その基盤となる通信を提供する携帯キャリアは、課題解決のプラットフォームを作り上げていくことができる。そしてそのプラットフォームを国際展開することで競争力につながる」と説明します。 ドコモが5Gに向けて進める「マイネットワーク構想」はその思想が反映されているものと捉えることができるでしょう。マイネットワーク構想は、スマホがハブとなり、デジタルカメラやVRデバイスなど、さまざまなものが連携するというコンセプトですが、ドコモは機器メーカーと協力して、簡単にスマホへ繋げるための仕組み作りに注力するとしています。 関連:ドコモ、「5G」の料金プランは「使い放題」型か ソフトバンクの宮川CTOは「日本がものづくり大国と言われた時代のまま、成長しきれるのでしょうかというと、これは疑問」と言及。その上で、「我々はモノからコトへと変わろうとしている世界観の中にいる。自動車が基幹産業と呼ばれてきたが、もう少し経つと、MaaS(マース、Mobility as a Services) となってくる」と語ります。MONETは、そのトレンドを先取りした動きと言えるでしょう。 関連:ソフトバンク✕トヨタの「MONET」が目指す、『移動のサービス化』とは 新規参入の楽天モバイルですが、強みは基地局アンテナより先の「コアネットワーク」にあります。この部分にはこれまで専用の機器が多数使われていましたが、楽天ではそれらのほとんどを汎用のサーバー機器上で動作するソフトウェアに置き換えた「完全仮想化ネットワーク」を実現しています。5GではエッジAIという、基地局に近いサーバーでデータを処理する仕組みが取り入れられますが、楽天モバイルのアプローチはこのエッジAIとも相性の良いものとなっています。 ▲最初から5Gを見据えた作りになっているのが、後発ならではの楽天の強み このネットワークの実現について山田社長は「世界からエンジニアを招聘して、ぎゃーぎゃーと議論しながら、形になるところまでもってきた」と語り、通信システムのパッケージとして海外展開する構想を示しました。 関連:楽天が立ち上げるキャリアはどこが凄いのか? MWC19で三木谷社長が語ったこと

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