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イノベーション
2016.08.31

IoT事業は、ソフトとハードのエンジニア連携がキモ
<IoT H/W BIZ DAY2 トークセッション(2)>

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2016年8月26日(金)に、ハードウェアやIoTプロダクト関連のスタートアップ事業者を中心としたビジネスセミナー、展示交流イベントの「IoT H/W BIZ DAY2」が、KADOKAWA富士見ビルで開催された。

イベント内で行われたハードウェアのスタートアップで成功している3社によるトークセッション「IoTハードウェアスタートアップ 気になる量産化の裏側」についてレポートする。

トークセッションに登壇したのはQrio 代表取締役 西條晋一氏(以下、西條氏)とMoff 代表取締役 高萩昭範氏(以下、高萩氏)、BONX代表取締役CEO 宮坂貴大氏(以下、宮坂氏)の3氏。

スマートロックやスマートタグを開発している「Qrio」、Wearable Smart Toyとして世界的に売り出している「Moff Band」、野外での激しい運動中でも複数の仲間とスムーズにコミュニケーションできるトランシーバーの「BONX」。

これらの商品が、どう量産までこぎつけたのか? ハードウェア製造を行なう技術者を探し出す苦労や、IT側の人間が製造側の人間とコミュニケーションを図る時の苦悩などが語られた。

人材確保が成功の鍵。行動力や繋がりが重要。

今回のトークセッションでは、どの登壇者も人に支えられ、人で苦労したと話す。

Moffの高萩氏は、2013年に始めた当時、ハードウェアのスタートアップは「リスクがあるからやめた方が良い」とまでは言われなくとも、推してくれる人がなかなかいなかったそう。そんな中、以前から知り合いだったという元ACCESS創業者の鎌田富久氏やCerevoの代表取締役、岩佐琢磨氏よりなかば強引に「お前なら出来る」と後押しされスタートさせる。

困った時は、すでに成功している鎌田氏や岩佐氏に相談できるという面では人に恵まれていた高萩氏。人を集める部分では苦労したようだ。

「特にデザイン系の人を集めるのが大変でした。開発当時はデザインと言うと、アプリデザインなどを行なっている人ばかりで……。電子デバイス系のデザインを行なっている人は、既に大手企業で働いているんです」と高萩氏。最後は運良く受けてくれる人がいたが、意匠設計のギリギリ手前まで自分たちで考えて、仕様に落としこんでいる。

2015年にスタートしたBONXの宮坂氏は登壇者のなかでもハードウェアスタートアップのバックグラウンドが無かったと言う。経験ゼロから開発メンバーを集めるときには、プログラマーの集まりそうなイベントに行き「誰か作れる人いないですか?」と聞き回ったそう。

「そういう奴は本当に嫌われるんだよね」なんて厳しい反応から、独学でプログラミングを学んで努力をしたものの、最終的には人との縁に助けられたと言う。ユカイ工学CEOの青木俊介氏の妹さんと農業仲間だと言う宮坂氏。そこから人の紹介をしてもらいチームを構成していった。

人を集めると言う部分では恵まれていたQrioの西條氏。「人をさがすだけで、数カ月、1〜2年は過ぎてしまうほど人材発見は困難だと思うので、内製で行なうスタートアップは凄いと思う」 とひとこと。

Qrioは、ソニーのジョイントベンチャーなので、企画、マーケティング、営業、エンジニアなど人の環境は整っている。「もし人を探すところから始めたら発表が1年以上は遅れてしまったのでは」とも話していた。

ソフトとハード、双方のエンジニアが必要不可欠なIoT

そんなQrio西條氏が「人」で苦労したのはソフトウェアとハードウェアのエンジニア間のコミュニケーションだったと言う。例えば「ソフトウェア側から見ると、モーターを取り付けて鍵を開けるだけと考えると、なんでこれをやるのに3カ月もかかるんだろうとか思っちゃうんです。なんでこんなにテストばかりやるんだろうとか」。双方で円滑にスケジュールが組めるようになるのに半年以上かかった。

西條氏は「ソフトウェアのエンジニアはわりとせっかちで、短い時間でプロトタイプを作り改良していく」と重ねる。「一方、ハードウェアの人たちは、出して不具合があるとリコールの可能性もあるし、怪我をしないよう危険リスクを避けてテストを行なうんです」

量産体制を築き上げることで学んだ苦労や発見

量産に関して全くの未経験だったBONX宮坂氏は「量産体制を作るのは本当にタフだった!」と言う。

「量産前は紹介してもらった経験のあるメンバーや工場など、スタートアップでここまで揃えられる企業はなかなかないと自負していた。でも、既存の製品にはない仕様が盛り込まれたりするので、不具合やバグが頻繁に起きたのが最も苦労した。スタートアップは“前例がないもの”を作ることが多くなってくるので、必然的にこういった問題が多く発生する。不具合やバグが発生しても、根気よく対応する姿勢が必要だ」

量産体制を築き上げるまでに苦労はつきものだが、発見もあったという。

資金調達をするにあたって3社ともに利用したのはkickstarterをはじめとするクラウドファンディング。資金調達を行うのも目的だったが、Moffband、BONXともにユーザーコミュニティを構築できたことが大きかったようだ。長い文章でフィードバックしてもらったり、逐一気になることをメールで連絡してくれたりするのは、開発陣営にとってうれしいことだろう。

Qrioは上記のMoffbandやBONXのようにユーザーコミュニティが盛り上がるという商品ではないが、クラウドファンディングを行ったメリットがあったという。もともと仕様に盛り込んでいなかったもの(手ぶらで解錠など)や、優先順位として後回しにしていたものを優先して行うなど、意見を反映させて商品化させている。

「自分たちが成功したいという気持ちはもちろんあるが、まずはアクションカメラ『GoPro』のような成功モデルを一つでも国内で作り上げてほしい」西條氏は最後にこう締めくくり、参加者にエールをおくった。

Qrio
http://qrioinc.com/

Moff
http://jp.moff.mobi/index.html

BONX
https://bonx.co/ja/

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