IoT(Internet of Things)の最新ニュースや企業&ベンチャー事例(ケーススタディ)ほぼ毎日掲載

2019.09.05

欧州をカバーするeSIMサービス「Stork Mobile」がドイツで活躍:週刊モバイル通信 石野純也

Powered by

9月6日(現地時間)に開幕するIFAを取材するため、ドイツ・ベルリンに来ています。ドイツはここ数年、SIMカードの購入が徐々に難しくなっており、国際ローミングに頼ることも増えてきました。一方で、eSIMの登場によって、GigskyやUbigiなど、ローミング専業のMVNOを契約することは、以前より簡単になりました。今回もいつもと同様、iPhoneではeSIMを利用しています。 日本企業が運営するStork Mobile 欧州対応のeSIMプロファイルは、上で挙げたGigskyやUbigiのほかにも、さまざまな会社が提供しています。今回、筆者が選んだのは「Stork Mobile」のeSIM。最大の特徴は、日本のMVNOが運営しているところにあります。Stork Mobileの提供元はeConnect Japanという会社で、主に訪日外国人向けのSIMカードを取り扱っていました。この会社のeSIMサービス用ブランドが、Stork Mobileというわけです。 ▲Stork Mobileは、8月1日にサービス提供を開始したばかり 同社はソラコムの回線をあたかもMVNEのように使い、サービスを提供してきました。MVNOとして知られるソラコムですが、クラウド上構築された交換機の設定の一部をユーザーが自分で変更できるという点では、MVNEに近い存在。ソラコム回線を使うIoTデバイスも、見方を変えると、ソラコムがMVNEになり、IoTデバイスの開発者がMVNOとしてユーザーにサービスを提供していると言えます。 それを、訪日外国人向けのサービスに落とし込んだのが、eConnect Japanで、同社はソラコムのイベントでも導入事例として紹介されたことがあります。 訪日外国人向けとはベクトルが完全に真逆で、旅行する日本人がターゲットになっているところがおもしろいポイントと言えるかもしれません。 ただし、現状ではサービスは欧州限定。料金プランは1GB/15日のものが5.99ドル、3GB/30日が15.99ドル、5GB/30日が23.99ドル、10GB/30日が43.99ドル。他のローミング専業キャリアと比べても同等か、やや安価な設定になっていることが分かります。 ▲現状は欧州用プランのみ。4種類からプランを選択できる たとえば、フランスに拠点を置くUbigiの場合、欧州周遊だと3GBで25ドル。筆者が滞在中のドイツに利用国を限定しると3GBで15ドルまで下がりますが、Stork Mobileは、それとほぼ同価格で欧州を回りながら使えることになります。 周遊プランは、乗り継ぎがあるようなときに便利。特に欧州の場合、どこかのハブ空港に飛んでから別の国の目的地まで乗り継ぐことが一般的ですが、Stork Mobileのプランならこうしたケースにも対応できます。かく言う筆者も、今回はオーストリアのウィーンでStork Mobileをアクティベートし、ドイツで利用しています。 ▲欧州内で比較した場合、競業他社よりやや安めの設定になっている 申し込みは簡単。日本の事業者ということもあり、サイト内の文言も完璧な日本語で、特に引っかかるところはありませんでした。同社のページにアクセスし、まずプランを選ぶと、ユーザー情報の入力欄が現れます。ここで入力するのは、名前と電話番号だけでOK。続いて支払いに使うクレジットカードの情報を入力すると、QRコードが発行されます。アカウントなどを作成する必要なく、QRコード発行までが手軽なフローになっているのがいいですね。 ▲プランを選び、画面の指示に従って名前、メアド、クレカ情報を入力していくと、QRコードが表示される ▲あとはQRコードを読み込み、eSIMのプロファイルをダウンロードするだけ。以降の手順は何度も掲載しているので省略 ちなみに、QRコードが送られてきたあと、パスワードを設定してアカウントを作ることもできます。ログインすると、同社のWebアプリでデータの残量や追加の容量購入も可能。マストではありませんが、通信量をチェックするため、登録しておくといいでしょう。なお、アプリと言っても、あくまでWebアプリのため、App Storeでダウンロードすることはできません。メールに書かれたURLに飛び、そのサイトへのショートカットをホーム画面に置くと、あたかもアプリのように利用することができます。 ▲アカウントを作ると、容量の残りを確認したり、追加購入したりといったことが可能に ドイツでは、サイトに記載があったとおり、Vodafoneの回線につながりました。速度はまずまずといったところで、ベルリン市内で下り5Mbpsほど。写真や動画を大量にアップロードするといった使い方には向きませんが、iPhone単体で利用するぶんには、問題はないスピードと言えます。また、Stork Mobileの回線は、インターネット共有にも対応しています。ただし、これを利用する際には、APNの設定が必要になります。 ▲速度は5Mbps程度。大元の回線が上下最大8Mbpsまでとみられるため、上々な結果と言える Engadget読者には、APN設定など朝飯前以上に簡単かもしれませんが、日本のiPhoneは原則して設定が不要なため、慣れていないと手順が分からないといったことはあるかもしれません。APNは、「設定」 「モバイル通信」 「Stork(ユーザーが設定したラベルになります)」とタップしていき、「モバイルデータ通信ネットワーク」を開いて設定します。各項目のAPNに「soracom.io」と入力してください。これで、インターネット共有が利用できるようになりました。 ▲インターネット共有の利用には、APNの設定が必要になる。全項目に「soracom.io」と入力しよう このAPNからも分かるように、Stork MobileのeSIMも、どうやらソラコムの回線を利用しているようです。ソラコムは、7月にeSIMのプロファイルをiPhoneなどの端末に書き込む技術を披露していましたが、これを活用し、サービス化したのがStork Mobileだと推測できます。eSIMをアクティベートするためのアドレスに、「truephone」の文字列があったことも、これを裏付けます。詳細は当時の筆者が書いた記事を参考にしていただきたいのですが、技術的には、ソラコムを介して欧州キャリアのTruephoneの設備を使い、サービスを実現しているようです。 現状では欧州限定ですが、ソラコムのeSIMは、グローバル向けの「SORACOM IoT SIM」と同じ回線を利用しており、こちらは欧州以外でも接続ができるため、拡大が期待できそうです。料金的にも、大手キャリアの国際ローミングより安く、日本でそのまま契約できる安心感もあります。Stork Mobileには1GBプランが用意されているため、これをプリペイドSIM購入までの"つなぎ"として使ってもいいでしょう。 アジアなどでは現地でプリペイドSIMを買った方がお得になることもありますが、ドイツのように、SIMカードが買いづらかったり、料金が高かったりする国や地域もあり、一概には言えません。SIMカードを調達する手間まで考えると、Stork Mobileは、欧州に行くときの有力な選択肢になりそうです。

続きを読む
*外部サイト(オリジナル記事)に移動いたします。

IoTニュースの一覧ページは、こちらをご覧ください。

あわせてお読みください

記事ランキング

  • 直近1時間
  • 昨日

話題のキーワード

注目連載

IoTニュース

IoT/AIを超高齢社会にどう生かすか? 「先駆者」としての障がい者
ICUの遠隔化で緊急医療体制を進化
災害・BCP対策、医療×AI/IoTで病院はどう変わる?
1億画素スマホや5Gスマホは日本に来る? シャオミに日本市場参入の意図を聞く
「半導体が産業の主役に」SEMICON Japan 2019の狙い
漁業、農業へのAI、IoT活用は実用段階へ--KDDIが手がける5つの事例
日立ソリューションズ、「GeoMation 屋内位置把握ソリューション」にデータ分析支援機能を追加
強化学習によってIoT機器が自ら最適な無線チャネルを選択 東京理科大
慶大、複数のIoTデバイスをMRでプログラミングする「ReallifeEngine」発表
NTT Com、IoTの導入検討支援・設計構築・保守運用をワンストップで提供 | IT Leaders
リンクジャパン、ベッドに固定できるIoT体温センサー アプリや見守りサービスと連携
案件化数は以前の40倍に!さくらインターネットがMA活用に成功した理由とは
ASUS、組み込み&IoT展示会「ET&IoT Technology 2019」に出展
宮古島は「エネルギー自給率向上」を目指し、再エネ+IoTをフル活用
NTT Com、IoTプラットフォーム「Things Cloud」の導入検討支援・設計構築・保守運用をサポートするサービスを提供
GoogleがFitbit買収、関心が落ちていたウェアラブルになぜ注力するのか(佐野正弘)

IoTニュース”は、Mynd Engineを活用して、世の中のIoT関連の記事をまとめさせていただき、ご紹介させていただきます。