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2016.11.16

LTE接続ドローンが離島の暮らしを変えられるか? ドコモが福岡でセルラードローン実証実験

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ドコモは、エンルートおよびMIKAWAYA21と協力して、セルラードローンの実証実験を行いました。実験は福岡県福岡市で行い、その模様は報道陣に公開されています。 ドコモが実証実験を進めるセルラードローン セルラードローンとは、文字通り携帯電話のネットワークを通じて制御可能なドローンのこと。通常のドローンとは異なり、LTEを通じて操作できるため、航行可能な距離が長く、より応用範囲が広くなるのが特徴。「目視外の飛行ができる」(ドコモ IoTビジネス部 ビジネス企画 事業企画担当課長 石川太朗氏)というわけです。 このセルラードローンを用いて、離島に商品を届けようというのが今回の実証実験の趣旨になります。福岡市のヨットハーバーから、能古島へと生活用品を飛ばし、実際に島の住民がそれらを受け取るというのが実験の流れ。シチュエーションは2パターンあり、1つがシニア世帯向け。もう1つが子育て世帯向けになります。 【ギャラリー】ドコモ セルラードローン実証実験 (25枚) 能古島のシニア世帯に生活用品を届ける ボタンを押すと、センターから電話がかかり、注文を伝えられる仕組み 注文を受け、目的地などのデータをセルラードローンに入力 携帯電話のネットワークで接続されているため、目視外で様々なデータを取得できる 利用したドローンはエンルート製の「FH940」。ドコモによると、これにスマホを装着して、通信可能な状態にしてあるといいます。なお、制御は基本的にLTEの通信網経由で行っていますが、離着陸時のみ安全性を考慮して、2.4GHz帯の無線で直接操作しているとのこと。この実験を通じて、ドコモは「地上のネットワークへの影響がないかどうかを確認する」(ドコモ 常務執行役員 九州支社長 高木一裕氏)目的があります。機体に関してはエンルートが、サービスに関してはMIKAWAYA21がそれぞれ検証を行う予定です。 左からドコモの高木氏、MIKAWAYA21の青木慶哉社長、エンルートの伊豆智幸社長、福岡市の永浦洋彦理事 元々携帯電話の電波は、空中での利用を想定しておらず、電波法でもこれが禁じられていました。これが改正され、「7月以降は上空で使えるようになった。実用化試験局という、既存のネットワークに影響を与えないかどうかを確認する制度ができた」(石川氏)のが、ドコモがセルラードローンに着手した背景になります。今回の実証実験でも、この実用化試験局の制度を用いているといいます。  ネットワークに関する課題は主に2点あり、1つが「上空に上がれば上がるほど、電波の品質が悪くなること」(同)。いくらLTEで通信できるといっても、上空できちんと通信できなければ本末転倒です。また、「地上で使っている方に迷惑になる可能性もある」(同)というのがもう1つの課題。これらをクリアするために、ドコモでは、福岡市以外でも様々なセルラードローンの実証実験を進めています。  実証実験は、12時20分ごろにスタート。午前中まで天候が悪く、風も強く吹いていましたが、セルラードローンは無事に離陸できました。着陸後は、スムーズに地上80メートルほどの高さまで上昇し、そのまま能古島に向かいました。高度や傾きなどの各種データは、LTE経由でセンターまで送られてきています。実際の飛行は事前に入力したデータ通りですが、遠隔からそのパラメーターを補正することも可能だといいます。 注文を受け、荷物がセルラードローンに装着された 離陸の様子は、以下の動画をチェックしてみてください。 ドコモ セルラードローン 実証実験 pic.twitter.com/iru2IIm6Zi - Engadget Video (@egjpV) 2016年11月15日 ドローンは5分程度で能古島に到着。この実験では実際に着陸はせず、荷物をワイヤーで落下させ、住民が受け取るという流れになっていました......が、風が強すぎて受け取りに失敗。公開実験でまさかの失敗という結果になり、セルラードローンは荷物を吊るしたまま、ヨットハーバーに戻ってきました。荷物をぶら下げたセルラードローンの姿は、どことなく哀愁が漂っています。 能古島に向かう様子は、ネットワークを経由して表示される 強風のため荷物が受け取れず、1回目の実験は失敗に 気を取り直して再び能古島に向かう 報道陣もフェリーで能古島に その後、セルラードローンによって運ばれてきた荷物が、ワイヤーで吊るされ、徐々に下降してきました。能古島の住民がそれを受け取ったところで、実験は終了。2回目に関しては、無事に成功となりました。 セルラードローンの着陸ポイント ワイヤーに吊るされた荷物が、徐々に陸地に着いた 実証実験に参加した能古島の住民が、荷物を受け取った 能古島には、1時間に1本程度のフェリーが出ており、対岸までの時間も10分と、それほど遠いわけではありません。実験に参加した能古島の住民も、普段は宅配などを利用しているといいます。一方で、やはりそれでは商品のバリエーションが限られ、どうしてもまとめ買いをしなければならなくなるため、セルラードローンによるサービスが商用化された暁には、ぜひ利用したいとコメントしていました。 実証実験を取材してみて感じたのは、やはり商用化にはまだまだ課題が多いということ。1回目の実験が失敗したように、天候や気候の影響を大きく受けるため、場所によってはフェリーなど別の方法で届けた方が確実性は高まりそうです。 また、今回の実験は1㎏までしか積載できておらず、これだと水の入ったペットボトルなどの重い荷物が運べません。これは利用するドローンのスペック次第とのことですが、より積載量を増やすなど、商用化するのであれば、様々なものを載せて実験をする必要性もあると感じました。さらに、今回はあくまで実証実験の様子が公開された段階で、ドコモが目的とする、既存のネットワークに与える影響も未知数です。 とは言え、ボタンを押すだけで玄関まで荷物を半自動的に届けてくれるセルラードローンは、実用化すれば非常に便利な存在になりそう。特に実証実験を行った能古島のような離島では、毎日の生活を支えるインフラになりうる可能性を秘めています。ドコモでは、セルラードローンを用いたサービスを2018年ごろに開始する予定で、今後も実証実験は続けていきます。各種課題を解決して、サービスが始まるのが楽しみだと感じました。

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