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スマートハウス
2016.09.06

シェアリング・エコノミー時代のセキュリティ(1)
民泊「受け渡しコスト」減らすスマートロック

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シェアリング・エコノミーとは、個人保有の遊休資産の貸し出しを仲介するサービスを指す。その発端は2008年に開始された民泊マッチングサービスの「Airbnb」。その後も、ドライバーマッチングの「Uber」「Lyft」など続々と登場し、注目を集めている。

シェアリング・エコノミーは民泊で注目されている一方、様々な問題も発生している。先のAirbnbではゲストがチェックインまでに来ないで遅刻をしてくるほか、部屋の家具を壊されるといったトラブルも。Uberでは、登録ドライバーがミシガン州で銃乱射事件を起こし、犯行の合間に乗客を乗せ、料金も受け取っていたことがわかり、利用者たちを恐怖に落とした。中には運転が危険すぎ、かつ途中で降ろしてももらえなかったと投稿した人もいたという。

個人と個人がインターネットで容易につながることができる時代、シェアリング・エコノミーの台頭は当然ともいえる。一方で、こうしたトラブルや事件も多く、この時代に沿ったセキュリティについて考えていきたい。1回目は、民泊だ。

日本でも、Airbnbの普及や大田区の特区民泊認定を皮切りに、今後国内でも民泊サービスがさらに増えてくると予想される。ホストとしてゲストに部屋を提供したいと考えた時に抑えたいのがコスト。家具など一式揃えてオープンした後も、日々の運用コストは発生する。

中でも一番手間とされるのが、鍵の受け渡しだ。Airbnbなど民泊では、貸し主と借り主が直接やりとりをし、泊まる際に貸し主から借り主が鍵を受け取り、帰る時に借り主が貸し主に鍵を返すということを行っている。

 

しかし、これでは貸し主側は毎回鍵の受け渡しタイミングのやりとりで忙殺されてしまう。ホテルのようにフロントに人が常時いるわけではない民泊ならではのわずらわさしさで、借りる側も貸し主の都合で鍵の受け渡しタイミングを決められたり、不便さがある。また、貸し主、借り主双方に顔をあわせるリスクもある。

民泊サービス台頭で新しく出てきた「鍵の受け渡しコスト増大」という課題。その解決策として、以前から存在はしていたものの、今ひとつブレイクのきっかけを創り出せていなかったスマートロックに注目が集まっている。

鍵の受け渡し方法と、避けたいリスク。

Airbnbのヘルプページに“鍵はゲストに手渡しするホストが多数派ですが、入り方を添えて鍵を郵送する人、鍵保管箱に鍵を残していく人、近所の人に預けていく人もいます”と書いてある。実際は、貸し出す部屋のタイプによって受け渡し方法が異なる場合が多い。「個室」や「シェアルーム」の場合、ホストが直接鍵を手渡すことが多く、「個室」の場合は郵送が多いようだ。

他にも、郵便ポストの中に暗証番号付きのキーボックスを置いたり鍵の受け渡しサービスを利用したりする方法もある。

直接手渡しの場合、ゲストの到着が遅れたり、チェックアウト時刻の変更などがあったりすると、予定時刻ちょうどに受け渡しができない。

郵送や、郵便ポストの中に鍵を置いた場合は紛失や盗難にも注意が必要だ。もし紛失や盗難に遭ったら、交換の時間がかかり費用もかさんでしまう。外部に委託して鍵を管理する受け渡しサービスも1回4,000円ほどの料金がかかるサービスが多く、コストの削減には向いていない。

「スマートロック」でコストもリスクもカット。

鍵の受け渡しにかかる金銭的・時間的コストを削減できるとして、注目されているのがスマートロックだ。これまでは、どう使うべきか具体的にイメージできない人も多かったが、民泊と組み合わせて使うことで、多くのメリットを享受できる。

スマートロックは、インターネットと鍵を連動させ、開閉を実現させる。設置も簡単で、サムターン(シリンダー錠などの、回して締める鍵)の上に装置を付けるだけでOK。貸し主は、スマートロックを設置したあと、貸し主に都度、鍵となる暗証番号などをインターネット経由して発行する。

借り主は発行された鍵の番号などをドアのところで入力し、解錠をする。貸し主は鍵の利用できる時間に制限をかけることや、解錠されたかどうかの確認もインターネットを通じて行えるので、移動コストは必要なくなる。

すでに複数の企業からスマートロックのサービスは展開されているので、代表的なものをいくつか紹介しよう。まず表を見て欲しい。今回は4つのサービスを取り上げる。

1つめはソニー系ベンチャー企業のQrio Smart Lock。18,000円(税別)と安価で導入できるのが魅力だ。1つのドアに2つの鍵が付いている場合でも、上下に取り付けることで同時に操作できるという特徴もある。

「手ぶらで解錠機能β」を使えば一定距離以上離れた場所から帰宅した際に、鍵と接続できる距離に入ると自動的に解錠してくれるので、両手に荷物を抱えている時など便利。

2つ目はライナフのNinjaLock。価格は 19,800円(税別)とQrio同様安価での導入が可能。フィーチャーフォンからの開錠ができるのがQrioとの大きな違いだ。インテリアに合わせてカスタム可能な純正ステッカーが豊富にラインナップされているのもNinjaLockの特徴と言える。開錠する際は一度ドアをノックしてNinjaLockに振動を与えないとBluetoothがONにならない仕様となっている。

3つ目はフォトシンスのスマートロックAkerun Pro。主にオフィスでの利用を想定しており、24時間電話でサポートに対応してくれるのがポイントだ。

スマートフォンをなくしてしまった場合や、万が一の故障など、どんなトラブルでも24時間サポートしてもらえれば安心して利用できる。スマートフォンはもちろん、フィーチャーフォン、ICカードと開錠方法も多彩。ゲストユーザーに鍵を共有する際、アプリのインストール不要で開錠できる。

スマートロックなのに照明のON/OFFまで!

最後はイッツ・コミュニケーションズの提供する「インテリジェントホーム」サービスだ。鍵の開錠・施錠は非接触カード(※1)やタッチパネルによる操作が可能で、スマートフォンアプリによる遠隔での操作もできる。

さらにスマートロックという枠を超え、さまざまなデバイスと連携することで外出先から家の中をコントロールできるのが特徴だ。例えば外出時にドアをロックすると自動で照明やエアコンをOFFに。

民泊として使う場合、ゲストが鍵を解錠したら、写真を撮影してホストにメールで送るなどといったこともできるので、セキュリティという面では単なる鍵以上の役割を果たしそうだ。
※1はオプション

利用まで30分でOKの簡単設置。

設置が簡単なスマートロック。今回どのくらい簡単なのか、Qrioを使って設置までの過程をレポートしてみる。

梱包されていたのはQrio SmartLock本体、サムターン部分の受け口のアタッチメント(S/M/L)、接着部分のベースの高さを変える上げ底パーツ(2段階)、ネジ(大4本、小4本)、リチウム電池2本、粘着テープ2枚、サムターンカバー、オーナー登録カードとクイックスタートマニュアル。

まずは設置の前にスマートフォンの専用アプリ(iOS、Android対応)をダウンロードし、手順に沿って取り付けを行う。まず本体の電池カバーを開けて、付属のリチウム電池をセット。続いて、S、M、L、3種類の幅が用意されているアタッチメントを、取り付けたいサムターンの太さに合わせて選択する。

高さが足りない場合は上げ底パーツを使って高さを合わせる。あとは設置する向きを決め、取り付け後も問題なくノブが回せるか確認したら地面に水平もしくは垂直になるよう位置合わせをし、粘着テープを使って接着。サムターンカバーをすれば取り付け完了だ。サムターンの形状によって取り付けができない鍵もあるので、設置の際は注意したい。

左:Qrioアプリインストール画面(iOS版)
右:アプリ内の設置方法説明画面

SmartLockのキー共有も簡単に行える。まずは難しい設定が必要ないオーナー登録を行おう。梱包されていたオーナー登録カードをアプリからスキャンすれば完了だ。オーナー登録が完了したらキーを作成する。キーの名前や利用可能な期間などを設定。利用者の使用できる期間を制限できるのは便利だ。

キーの作成も画面のナビゲーションに沿って作成

キーの作成が終わったら、「メッセージ作成」からLINE、facebookメッセンジャーなどのSNSやメールを使って利用者に共有しよう。

URLも自動的に生成されて共有も簡単

今回設置はできなかったが、粘着力の強い両面テープで貼り付けるだけなので所要時間はほとんどかからない。初心者でも30分もあれば設置から利用までできるのではないだろうか。

設置が簡単で導入までのハードルが低いスマートロック。コストを削減できるだけでなく、より便利で安全に配慮されたサービスが提供され始めている。民泊サービスの増加とともに、スマートロックやセキュリティが今後どのように進化していくのか注目したい。

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