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2018.02.01

緊急寄稿:KDDIが突然の社長交代、au田中プロが次代にバトンを渡すワケ。「スマホの次」背負う高橋氏の重責

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―― それは異例で突然の発表だった。 通常、KDDIは15時から決算会見を行っている。しかし、1月31日は、その15分前、14時45分に「同じ場所で15時40分から別の会見を行う」というメールが広報から飛んできたのだった。 15時直前には会場で「15時40分から『人事の会見』をやる」とアナウンス。ここで勘の良い記者は「田中社長が代わるんだな」と気がつき始める。 15時になって、会場に現れた田中社長は満面の笑みを浮かべていた。今思えば、社長の重圧から解放された穏やかな笑顔だった気がする。 15時30分までは、通常通りの決算会見が行われた。しかし、「田中社長、いつもと違うな」と感じさせられたのが、記者からの「楽天が携帯電話事業に参入することについてどう思うか」という質問に答えている時であった。     田中社長は「新しい時代に向けて、誰が最初にゴールするのか。トラック競技のように受け止めている。次の時代に向かって走り出している。楽天が最初にゴールしたいと動いているのではないか。自分が持っていない機能を獲得しながら、いろんなプレイヤーと戦っていく。RPGのような戦い。次の時代に、通信が基本でありながら、さらに金融、コマース。お客さんをたくさん持っていた方が次の世代に行きやすい。数をたくさん取る。お客さんと深いエンゲージメントを持つかが重要だ」と熱っぽく語ったのだ。 この田中社長の発言には、やたらと「次の時代」とか「次の世代」という言葉が出てくる。 実際、楽天はネット通販でユーザーを獲得したのを武器に、クレジットカードや証券などの金融事業に強みを発揮し、最近ではウォルマートと組んでネットスーパー事業に本格進出を狙い、さらに損保事業にも手を出そうとしている。多角経営を進める上で、ユーザー接点として最も強い「スマホ」に参入しようとしているわけだ。 一方、KDDIは「スマホ」でユーザー接点を持ちながら、「じぶん銀行」という銀行業を手がけ、DeNAからネット通販事業を手に入れ「Wowma!」を展開。auショップでミネラルウォーターや様々な商材を売ってきた。 まさに、ネット通販の楽天が通信事業を目指し、通信事業のKDDIがネット通販に注力するというクロス現象が起きている。どの会社も、得意分野の顧客基盤をベースに、自ら持っていない事業を手がけることで、「楽天経済圏」「au経済圏」の拡大を狙っているのだ。 そんななか、田中社長が「次の時代」にバトンを渡そうと決断したのが、高橋誠副社長だったというわけだ。   ・au「田中プロ」退任へ、4月から髙橋氏が新社長に ・iPhone Xの感想は? 新Apple Watchは「びっくらこいた」──au田中社長に聞く(後編) ・「さすがに1000円はアレだよね」-- au田中社長、テザリング料廃止に前向き ・KDDI田中社長インタビュー:iPhone 7は『Plusに慣れると戻れない』、IoTは回線だけじゃ稼げない ・au田中社長、ソフトバンク新料金は「高いよね」。キャッシュバックは「わりと気持ちいい」 ・KDDI田中社長インタビュー:僕はオタクでガジェッター、自ら電波測定する社長の「べき」論 ・KDDI田中社長インタビュー:新しい形のスマホ。 変でもauらしいものを ・KDDI田中社長インタビュー:auは800MHzで広さ、2GHzで速度。パケ詰まりは「相当良くなった」 幅広い業種に顔が利く高橋副社長、右に出るものなし メディアの立場からすると、実は田中社長よりも高橋副社長のほうが、昔からなじみがあったりする。 1999年、NTTドコモが「iモード」をはじめたとき、ライバルであったKDDI(当時はIDOとセルラーグループ)は、「EZweb」という携帯電話向けインターネット接続サービスを開始した。 その当時、「EZweb」というかDDIの顔としてメディア対応していたのが、?橋誠さんだった。その後、商品発表会などでも登壇することが多く、当時からKDDIのキーマンであったことは間違いない。 今回の新社長就任会見で、高橋副社長は「新規事業担当をしていたこともあり、通信関連ではない、音楽やエンタメ、不動産などなど幅広い業種の企業つきあいをしてきた」という点を自身の強みに挙げている。   ・KDDIが「中心のない」新ポータル Syn. 構想発表。12社13サービスに共通サイドメニューを設置 ・KDDI Labo発表会、「みんなで作るWEB大図鑑」ズカンドットコムが撮影して魚種特定するアプリ開発 ・auスマートパス拡充し、伊勢丹やHIS、LUXA協業。月額390円有料で800万会員突破。iPhoneアプリ配信   実際、EZwebのころから、ポータル事業として、コンテンツ分野には精通していたし、その後、LISMOや電子書籍事業をはじめたことで、音楽やエンタメ分野にも顔が広い。 ベンチャーへの目利きもすごく、数多くのベンチャーにも投資し、コロプラやグリーなどにも早いタイミングで出資し、成功を収めてきた実績もある。 今後、IoTや5G時代には、単にスマホを売るのがキャリアの仕事ではない。様々な企業と連携し、新しい価値を生み出すだけでなく、auのユーザー基盤をベースとした経済圏の拡大が不可欠となる。その点において、幅広い業種に顔が利くという点に置いて、高橋副社長の右に出る人はKDDI社内にいないのかもしれない。 いまから7年2カ月前の2010年12月、UQコミュニケーションズ社長であった田中プロがKDDI社長に就任している。 ソフトバンクがiPhoneを売りまくっていた当時、KDDIはスマホのラインナップがほとんどなく、大きく出遅れていた。 そこに「プロ」としてメディアの前に登場したのが、田中社長だった。社長就任の翌年には、auでは初となるiPhoneである「iPhone 4S」を発売することとなった。 まさに田中社長の登場により、KDDIは「ケータイからスマホ」の会社にシフトすることができたのだ。 2018年4月、その田中社長から高橋社長にバトンタッチするということは、文字通り、KDDIはスマホの会社から脱皮することになるのだろう。 高橋新社長は、その人脈の広さと新規事業を開拓してきた手腕で「スマホの次を生み出す」という重大なミッションを背負うことになりそうだ。  

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