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テクノロジー
2016.09.01

いまさら聞けないIoTの基本のキ 〜第2回 IoTを実現するには何が必要?〜

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様々な「モノ」をインターネットにつなぐことで、産業から生活まで、多くの側面で新しい変化が生まれる可能性があることを「第1回」で見てきました。「IoT」、すなわちモノのインターネットがもたらす可能性です。その変化の先には、まだ思いもつかないような新しい価値が提供されることでしょう。

今回は、そうした新しい価値を提供してくれる「IoT」を実現するために、どうような要素が必要なのかを考えていきます。IoTを1つのシステムとして運用するには、4つの大きな要素が必要になります。ここからは、それぞれについて見ていきましょう。

IoTは、「センサー」「ネットワーク」「コンピューター」「アクチュエーター」――4つの要素を組み合わせて構成することで、システムが完成する

「モノ」とインターネットに加えてIoTには頭脳が必要

IoTは、モノのインターネットというぐらいですから、何らかの「モノ」とインターネットが必要なのだろうということは見当が付きます。まず、「モノ」から見ていきましょう。

IoTが対象とするモノ(Things)は、ほんとうに様々なバリエーションが考えられます。前回も紹介しましたが、工場に設置されている産業機器でも、建設機器でも、自動車であっても、家庭内にあるあらゆる家電製品や家具、住宅設備なども対象になります。機械や機器である必要はなく、普通のモノで構わないのです。ただ、ここで重要なことがあります。それは、IoTが対象とするモノには、センサーが組み合わせられていることが必要なのです。

あらゆるモノがIoTの対象になるといっても、書道で使う金属の塊の文鎮は、そのままではIoT機器にはなりません。椅子やテーブルも同様です。それらの機器が、現実の世界で起こっていることをセンシングして、その状況を情報へと変換できる機能を備えていることが求められるのです。

なので、単なる金属の塊の文鎮は、残念ながらモノではあってもIoT機器にはなれません。一方、文鎮であっても、動きのセンサーを内蔵して筆の動きを捉えることができるようになれば、書道上達のためのIoT機器になる可能性があるわけです。

センサーにはとても多くの種類があります。スマートフォンが内蔵しているような、動きセンサー、加速度センサー、地磁気センサー、気圧センサーなどは、センサーとして意識したことがある人も多いでしょう。温度計もセンサーの一種ですし、カメラもとらえた映像・画像も分析することで多くの情報を与えてくれるセンサーです。モノとセンサーを組み合わせることは、IoTの最初の条件です。

オムロンがIoTのソリューションビジネスに向けて提供する「環境センサー」。温度や湿度、光、音など7種類の環境情報を取得でき、無線で接続したネットワークを介してクラウドなどに情報を伝送する

次に必要なのはネットワークです。ここではIoTという名称から便宜的に「インターネット」と表現していますが、必ずしもインターネットだけがIoTのインフラを形作るネットワークではありません。企業が利用するようなIoTシステムでは、セキュリティーを高めるために誰もが使えるインターネットとは異なる専用のネットワークを使うこともあるでしょう。

ただし、インターネットであっても、違うネットワークであっても、モノに取り付けられたセンサーが取り込んだ現実世界のデータを伝送する広域のネットワークが必要なことには変わりありません。モノの中でデータが閉じていたら、活用する方法がないですよね。データを送るネットワークはIoTのもう1つの前提条件になるのです。

しかし、モノにセンサーが付けられて、ネットワークがあっても、実はこれだけではIoTは機能しません。「モノのインターネットというのに、なぜダメなんだ?」という声も聞こえてきそうです。

よく考えてみてください。センサーで得たデータを、インターネットなどのネットワークで運んで、その次にすることは何でしょうか。それは、データの分析や処理です。頭脳となるコンピューターが必要になるわけです。センサーが収集した現実世界の動きや温度や映像は、ネットワークを介してコンピューターに運ばれて、情報処理をします。

現実世界の状況が、コンピューター上のサイバー世界で解釈されると考えることもできます。この「コンピューター」は、現在ではクラウドと読み替えてもいいでしょう。そうしてサイバー世界の上で解釈された情報は、次に現実世界にフィードバックすることになります。

現実世界を動かすしくみをアクチュエーターと言います。アクチュエーターは、電気信号を動きに変換する装置のことを指しますが、ここでは広く現実世界にフィードバックするための機能と考えてください。空き巣が侵入してきたことを検知したら防犯ベルを鳴らして警察や警備会社に通報するでしょうし、室温が下がり過ぎたらエアコンの設定温度を上げるでしょう。

アクチュエーターを使うことで、コンピューターの情報を使って現実世界に反映したり制御したりすることができるようになるわけです。

ネスプレッソが販売するBluetooth機能搭載のコーヒーメーカー「Prodigio」(プロディジオ)。IoTのアクチュエーターの要素として、スマートフォンなどから遠隔操作でコーヒーの抽出が行える機能を備える。センサーの要素としては、水タンク補充などのアラートやカプセルコーヒーの残数管理などの機能を持つ

現実の世界とサイバーの世界を橋渡しする「IoT」

「センサー」「ネットワーク」「コンピューター」「アクチュエーター」という4つの要素が、IoTを形作るものであることがおわかりいただけたでしょうか。

もちろん、単体のIoT機器やIoTシステムの中には、これらのうちの一部の要素だけを持つものもあります。監視カメラもIoT機器の1つですが、センサーとネットワークを持ちますが、コンピューターやアクチュエーターは他のシステムにゆだねています。

最もシンプルな例として前回紹介したIoT傘立ては、本体にはセンサーを持っていません。しかし、全国の気象センサーからの情報をクラウド上のコンピューターで処理し、得られた気象情報をネットワーク経由で入手して、LEDの光という現実世界へのフィードバックを行っています。

IoTは、「単体の機器をネットワークにつないで何かを実現する」というよりも、「4つの要素を満たすシステムとして価値を生み出す」ものと考えると良さそうです。

こうしてみると、IoTの意味合いが少し見えてくるのではないでしょうか。パソコンやスマートフォンは、インターネットにつながることでサイバー世界の情報を私たちの手元に届けてくれるようになりました。ただし、そこで現実世界との橋渡しをするのは私たち人間です。

検索したい文字を入力するのは人間ですし、レストランに足を運んだりネットショッピングの購入ボタンを押したりするのも人間でした。

IoTは、現実世界とサイバー世界の間を仲立ちする役割を果す。これまでは、現実世界とサイバー世界が個別に閉じていたところに、IoTが両者を連携させることで、これまでにない新しい価値が生まれる可能性がある

一方、IoTによるシステムでは、現実世界の情報を取り込むためのセンサーがあり、頭脳であるコンピューターがあり、現実世界を制御するアクチュエーターがあります。もちろんそれらを結ぶのがインターネットに代表されるネットワークです。こうしたしくみが整うと、人間が介在することなく、現実世界の状況を判断して高度な制御ができるようになります。

これまでは分離していた現実世界とコンピューターによるサイバー世界が、IoTの広がりによって1つのしくみに取り込まれます。IoTは、現実世界とサイバー世界の架け橋として、私たちの生活を安全で便利に、そして豊かにする役割を担っているのです。

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