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2017.11.09

これがMVNOの生き残る道!「フルMVNO」化を進めるIIJ:週間モバイル通信 石野純也

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昨年、加入者管理機能を持ち、フルMVNO化することを宣言したIIJですが、その進捗状況が明らかになりました。IIJでMVNO事業を統括するMVNO事業部長の矢吹重雄氏によると、「11月に入る直前にドコモとの(ラボでの)大きな試験が終了し、サービスインはおおむねスケジュール通りに進んでいる」といいます。このままいけば、来年3月には、IIJが独自に発行したSIMカードを見ることができそうです。 ▲IIJが独自に発行したSIMカード ▲端末上でも、IIJとして認識される 改めてフルMVNOと今のMVNOの違いを解説しておくと、現状、日本のMVNOは、加入者管理機能(HSS/HLR)を持っておらず、SIMカードも大手キャリアから貸与されています。多くのMVNOは、ドコモからネットワークやSIMカードを借りていますが、そのSIMカードが刺さった端末からは、それがドコモのものであると認識されるようになっています。MVNOが提供しているのは、その先のインターネットに接続する部分だけです。 そのため、「ドコモやKDDIの管理システムを遠隔で間接的に操作する形でしか提供できなかったものがある」(MVNO事業部 MVNOセールス・プロモーション部 事業統括室 担当部長 佐々木太志氏)といいます。具体的には、SIMの開通や廃止は、IIJをはじめとするMVNOが直接行うことができません。これがフルMVNOであれば可能になるということで、「今は廃止するとゴミになってしまうが、開廃が自由にできれば、廃止したSIMカードを再度開通することも技術的にできるようになる」(同)といいます。 ▲ライトMVNOとフルMVNOの違い このメリットが大きく出るのは、IoTの分野。製品にSIMカードを組み込んだ状態で出荷したい企業がいる際に、現状では、これをMVNO側が自由に制御することができません。SIMカードを組み込んだ段階でMVNOがドコモなどの大手キャリアから回線を借りた形になってしまい、その手数料が毎月発生してしまうのです。加入者管理機能を独自に持てば、こうしたコストを圧縮することができます。 よりコンシューマーに近いところでは、海外向けのSIMカードが考えられます。IIJが加入者管理機能を持てば、「割安な(現地の)通信サービスを、我々のSIMカードに書き込むことができるようになる」(同)といい、旅行時などに、わざわざ現地でSIMカードを探し回る手間が省けることになります。逆に、増え続けている訪日外国人観光客にもメリットあり、海外で発行されたSIMカードに、IIJのSIMカードに使われているデータだけを書き込むような仕組みも作れるようになります。分かりやすい例でいえば、iPadに搭載されたApple SIMのようなeSIMの選択先の1つに、IIJが表示されるようになるというわけです。 ▲フルMVNOのメリットを語る、IIJの矢吹氏 もちろん、Apple SIMでそれがすぐに実現できるというわけではありませんが、現状では、主にアジア圏のメーカーが、SIMフリースマホにeSIMを実装し、海外で現地の事業者を選択できるようにしているケースもあります。IIJによると、こうしたメーカーに対してeSIMを提供している海外事業者からも、引き合いは強いといいます。海外のユーザーが、、日本でより安価な通信料金を享受できるようになるかもしれないのです。こうした端末が、日本にSIMフリースマホとして上陸する可能性もゼロではありません。 ▲海外にはeSIMを内蔵した端末も。この選択肢にIIJが入る可能性も出る。写真はあの香港人......ではなく、香港在住の携帯電話研究家、山根氏所有のOPPO製品 もっと単純に、SIMカードの維持費用がかからないのも、訪日外国人向けのプリペイドSIMを提供するうえでのメリットです。現状、空港などで販売されているMVNOのSIMカードは、先に挙げたように、在庫として置かれている状態でも、"半開通済みの状態"として、電話番号などの情報が書き込まれています。この状態を業界では情報を焼き切れていないことから"半黒"と呼びますが、ここにも料金がかかり、1カ月1枚あたり100円弱の請求が、大手キャリアからMVNOに発生しています。 つまり、在庫としてストックしておくだけでも、1000枚で10万円、1万枚で100万円が毎月かかってしまうのです。売れなければユーザーがから料金も徴収できないませんが、一方で供給が不足してしまうと、ユーザーが買うことができません。そのため、MVNO側は需給バランスの見極めをシビアに行う必要があります。加入者管理機能を持ち、自らSIMカードを発行できるようになれば、こうしたコストも不要になるため、ビジネスがよりしやすくなるでしょう。 ▲日本の空港でも、プリペイドSIMが販売されるのが一般的になったが、在庫コストがかさみがちなのが問題点 ほかにもフルMVNO化することで、さまざまなビジネスが考えられますが、IIJでは、「第一弾として、法人向けや訪日外国人向けプリペイド型の2つを展開する予定」(矢吹氏)だといいます。いわゆる格安スマホと呼ばれているような、一般のコンシューマーにとっての影響は少ないかもしれませんが、「国際展開ということで、各キャリアやMVNOと対話をしだしたところ」(同)というだけに、特に海外での通信が、よりシンプルにできるようになる可能性は十分あります。 一方で、SIMカードを独自に発行するということは、現状だとドコモやKDDIのSIMカードと見なしてそのまま使えていた端末が、利用できないことになります。具体的には、IIJであればタイプDでドコモの端末を、タイプAでauの端末を、SIMロックを解除せずに利用できましたが、これがIIJのSIMカードではできなくなります。こうしたデメリットもあるため、すべてがフルMVNOのSIMカードに置き換わることはなく、「現段階では事業採算性という意味で、個人向けはあまり大きくない」(同)といいます。 ▲大手キャリアの端末をそのまま利用できたのは、コンシューマー向けビジネスでのメリットになっていた また、個人向けMVNOは、大手キャリアのサブブランド攻勢やユーザー流出防止策が奏功した結果、かつての勢いはなくなりつつあります。実際、ほとんどのMVNOが回線を借りるドコモの純増数が、2017年度当初予想よりも減り、見通しを修正するといったことも起こっています。 ▲ドコモは通信モジュールやMVNOの純増が減少したことで、年度当初よりも純増予想を引き下げている 当のIIJを見ても、個人向けのIIJmioは、純増数が以前より大幅に減っており、同日開催された決算説明会では、代表取締役社長COOの勝栄二郎氏が「MVNEで法人に卸すところが、だんだと強まっている」と語っています。大手MVNO、特にネットワーク技術に強い会社の生き残り策として、法人ビジネスやMVNEを強化するのは自然な流れ。その戦略の一環に、フルMVNO化があると見てよさそうです。 ▲トータルでの回線数は順調に増えているが、個人向けの純増にはブレーキがかかっている

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