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イノベーション
2017.10.13

経産省・IoT推進ラボによる「IoT Lab Selection」受賞者発表
官民一体で進めるIoTプロジェクト支援施策

BY


【グランプリ】体内時計の見える化で目指す、睡眠から変える働き方改革——O:(オー)

グランプリを受賞したO:社。「世界初、体内時計を可視化して、 睡眠改善/生産性向上させるサービス 」とした同社のプレゼンは不眠症や睡眠不足によるパフォーマンスの低下という話から始まった。

O: CEO/Founder 谷本潤哉氏 

同社によれば、今の日本において不眠症は国民病とされており、睡眠薬常用者は500万人にのぼり、不眠で悩んでいる人は約2300万人もいるという。これによる日本の経済損失は年間5兆円といわれているとのこと。

そこで、同社はこの日本の睡眠環境を改善するべく着目したのが「体内時計」だという。実際、世界における不眠症の治療には睡眠薬ではなく、睡眠時間をコントロールし体内時計の正常化を図ることで治療する「CBT-i」という方法が一般的だという。

この「CBT-i」をベースにした体内時計表示を行なうウェアラブルデバイスと、コーチングを行うアプリが本プロジェクトの提案となる。このウェアラブルデバイスは、民生用の体内時計測定機としては世界初のものだという。

世界初とする民生用体内時計表示デバイスとコーチングアプリ

プレゼン後の質疑応答では、今後の展開についての質問が相次いだ。
同社ではビジネスの展開としてはBtoBをメインに考えており、トラックの運転手などの健康状態管理に使うことを想定しているとのこと。将来的にはBtoCとしての展開も視野に入れつつ、まずはデバイスの軽量化などの改善を進めていきたいとした。

他のファイナリスト3者

今回、惜しくも受賞を逃してしまった他のファイナリストについても紹介しよう。

<レクサー・リサーチ>
レクサー・リサーチは「新AI/超並列シミュレーション最適化による生産マネジメント革新とモノづくり基盤の強化」と題して、超並列シミュレーションによる生産最適化のシステムを提案。

市場ニーズが細分化したことで多品種少量生産が求められる時代。業務プロセスが多重化・複雑化し、生産工場の生産性は低下しているという。そうした中では、昨今流行りのディープ・ラーニングによる解決は難しいとのこと。

同社が提案するシステムでは、クラウド上の安価なCPUを使い、総当たりのシミュレーション試行により生産を最適化するという。これにより、過去の現象の関係性から解を導くディープ・ラーニングに対し、未来への可能性を検証する“ディープ・シンキング”を実現するという。実際、このシステムにより、実際にリードタイムを3分の1にまで短縮した事例などもあるとのこと。

そして、このシステムで蓄積されていく生産工場のモデルを共有することで、シェアリングコミュニティを築くというのが、本プロジェクトの狙いだ。

<Arblet>
Arbletの提案は、「高齢者見守りを支援するバイタルネットワーク」。同社によれば、人間の身に起こる様々な事象は人体のバイタルデータを取得することで、予測が可能だという。

そのバイタルデータとは、「血中酸素濃度」「体温」「呼吸数」「心電」「心拍」「活動量」「血圧」など。これまでに市販されているヘルスケアデバイスでは、せいぜい心拍と活動量といったところだったが、本プロジェクトのデバイスは、先に挙げたバイタルデータを全て取得できるのが強みとのこと。

こうして得られたバイタルデータを、クラウドへと収集して機械学習プラットフォームで解析し、人間の身に起こる思わぬ事象から守るための予測情報として活用する狙いだ。

例えば、介護現場での転倒防止。自律神経バランスの崩れや足元のふらつきを検出することで、リスクが高まっている状態を把握し周囲の人へと知らせてサポートしてもらう。食事摂取状態を取得することで体内リズムの調子を予測したり、排泄のタイミングを検知したりする。

<タナカ技研>
タナカ技研の発表は、「ガラス精密加工現場が考えるIRカットフィルタ外観検査の自動化」。同社は脆性材料加工、精密切断加工、蒸着加工、光学部品製造、IR(赤外線)カットフィルタ製造などを手がける工場。中でもIRカットフィルタはスマートフォンのカメラなどでは必需品となっている部品だという。

このIRカットフィルタは多層膜により構成されるが、不良品の検出が困難だという。フィルタ1片は約3mm×4mmの平面で、表面にある不具合によって光の透過率が変わる。それを光の透過検査や反射検査によって目視で見つけるとのことなのだが、発見には熟練の技が必要となるそうだ。

熟練工になるまでには2年を要するとのことだが、うち2割はそこまで続かずに脱落してしまう。そのため要員不足が常態化し、判断のバラツキや不良流出を招いてしまうという。

そこで、本プロジェクトでは、検査の全自動化を目指した。まずは現場にディープ・ラーニングを導入し、熟練工のノウハウを習得させた。いきなり機械だけにするのではなく、人間と共存する形で導入を進めたことで、経験によって得られる技をデータ化することに成功したという。

IoTが日常生活に普及していくために

ファイナリストに残った5プロジェクトについては、どれも注目すべき点があり、今後、様々な支援を受けられるという。IoTが日常生活に根付いていくためには、こうした公的な機関の取り組みも重要な役割を果たしていくことだろう。
 

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